「一と積」の字―シンプルに考える(Think simple)!
「一の字、積の字、甚だ畏るべし。善悪の幾も初一念に在りて、善悪の熟するも積累の後にあり」(一の字と積の字は、常に畏れ慎まなければならない。善も悪も、すべて最初の一念にあり、また善・悪に至るのも、いずれも最初の一念が積み重なった結果なのである。)この言葉は、幕末の儒学者・佐藤一斎の『言志四録』の中にあります。「最初の一歩を過ちなく、どう踏み出すかが最も大事である。その一歩の小さな積み重ねが、究極の目標へ至る唯一の道である」という意味でしょうか。西郷隆盛は、『言志四録』から百一か条を抜粋していつも懐に入れ、暗誦して座右の銘としていました。幕末から明治にかけて、吉田松陰、勝海舟、坂本竜馬、伊藤博文など多くの人々の時代を切り開く活力となった書と言われています。
さて、皆さんはどの道、どの大学を選ばれるのでしょうか。
私どもの大学は、現代医療の中で東洋医学の伝統に根差す、究極の統合医療を実践できる人材を育てたいと願っています。皆さんの知っている大リーグのイチロー選手も、今まさに大活躍している大谷翔平選手もこの「一と積」の神髄を理解し、一つ一つの基本を積み重ねて実践し、世界に通じる道を究めた人と言えます。イチロー選手の現役時代のトレーナーは、私どもの大学でその統合技術を学んだ卒業生です。一芸を極めることで、世界に貢献できる道があります。
一方、いまや世界一のテクノロジー企業となったアップルを躍進させたスティーブ・ジョブスも、ビジネス戦略を進めるにあたり、その筋道の一歩一歩を人々が「当たり前」と思うほどに明確にして、この<シンプルの杖(Think simple!)>を振るったと言われています。まさに、これは佐藤一斎の言葉と相通じるものです。そして、私の成功の秘訣は、「始めたら止めないこと」です。さあ、皆さんの人生を切り開く、この<シンプルの杖>を使う技を、私どもの大学で身に着けて下さい!
【追記】この令和5年のコロナ禍の落ち着いた夏休み、東京の小学2年生の孫が帰ってきました。えらく読書好きになっており、学校で「二宮尊徳」の話を先生から聞いたと無邪気に話していました。その時、私の脳裏には昔の小学校校門近くにあった「尊徳の石像」が浮かびました。この生成AIが騒がれる時代、影が薄くなっていると思っていましたが、その話に驚きました。また最近、田舎への途中のパーキングエリアに新しく銅像が設置されていたことを思い出しました。
何と、その銅像の下には『積小為大』との金文字が彫られていました。