2017年03月31日
第8回アメリカスポーツ医学研修
ヘルスプロモーション整復学科の牛島です。
ヘルスプロモーション整復学科の牛島です。
今年も3月12日~19日にアメリカスポーツ医学研修が過去最高の参加人数となる16名(関西医療大学10名、関西医療学園専門学校4名、引率教員2名)で開催されました。この研修のコンセプトの一つに、「体験」というキーワードがあります。ただ単に「見る」だけでなく、実際に現地の大学院生のプログラムに参加したり、治療に関する技術を享受したりすることを意識して研修内容を構成しており、今回も「テクニカ・ガビラン」、「カッピング(吸玉療法)」、「関節モビライゼーション」、「トータルモーションリリース(TMR)」、「実験データの取得」など、数えきれないほどの体験を組み込むことができました。
渡米初日は宿泊先ホテルにて、現在欧米での普及が盛んにおこなわれているISTMの一つ、「テクニカ・ガビラン」の認定講習を開催し、翌日訪問するカリフォルニア州立大学の教職員も交え、器具の使い方だけでなく治療時に行うエクササイズなどにも学生は幅広く触れることができました。私の母校であるカリフォルニア州立大学フラトン校では2日間の研修を行うのですが、まず初日は大学院生のカッピングについての講義・実技体験で、カッピングに関する歴史的なリサーチ(なんと中国ではなくエジプトがルーツ)、現在のスポーツ業界に取り入れた場合のアレンジ(エクササイズとの組み合わせ)についてなど、参加学生たちは非常に興味深く話を聞いていました。また、「良いものは取り入れ、そのまま使うのではなくアレンジする」という姿勢に、学生たちは見習うべき点を見出した様子でした。PTクリニックにおける見学の中では、関節モビライゼーションの第一人者である、キャシー・キャレロPT,ATCから指導を受けたり、運動制限の左右差に対して、動きの良い側への訓練を用い改善するという「TMR」を体験したり、帰国後すぐに臨床で使えるテクニックばかりなので、積極的に質問しポイントを聞き出していました。
また、「ACL損傷のリスク要因」についての講義では、リサーチの重要性、そして面白さが盛り込まれており、今後の学生の勉学への取り込む姿勢に影響を与えるきっかけとなったはずです。最新のリサーチで明らかになったリスク要因の一つとして、アライメントや動作分析ではなく、本学ヘルスプロモーション整復学科が特に重点を置いている体組成をデキサ法ほかにて見る体験をし、非常に貴重な体験になったことでしょう。
最終日はメジャーリーグ球団ミルウォーキーブリュワーズから、アリゾナで行われているスプリングトレーニングにご招待を受け、施設見学に続いてリハビリコーディネーターATCのフランク・ネビル氏による「プロアスリートの治療に関わることについて」の講話をいただきました。ここでは、治療の技術はもちろんのこと、それ以前に大切なこと、例えば「怪我だけでなくメンタル面を含んだ選手全体を診ること」、「選手から信頼されるには何をすべきか」、「(MLB随一の)メディカル部門の組織をどのように運営するか」など、第一線の現場ならではの話を聞くことができました。
大学、プロなどレベルは違えど、怪我が起こってからではなく、起きたとしても軽症のうちに対処する、常に先手を打つために必要なことは最終的には我々の人間性にかかっている。治療技術はどんどん変化しても、それは変わらないのだということをあらためて学んだ今回の研修でした。