2017年12月15日
ヘルスプロモーション整復学科での研究について
皆さん、こんにちは。ヘルスプロモーション整復学科(HPS)の井口です。
今回は学会や研究についてお話ししようと思います。
大学とは教育機関である一方で研究機関でもあります。そのため、新しい知見を発見して世の中に還元する責任があります。ところが、ヘルスプロモーション整復学科には一般大学では当たり前の卒業研究がカリキュラムに入っていません。そのため、全員の学生が卒業までに何らかの研究をしなくてはいけないということがないので、研究するかしないかは学生さんの自由になっています。逆に言えば、やりたいことを研究できる自由があるということです。ですから、毎年多くの学生さんがやりたいことを求めて、主体的に研究に取り組んでいます。
研究と一言でいうと簡単ですが、研究は様々な行程で構成されています。先ずはアイディアです。アイディアがないと次には進めません。このアイディアは普段の生活の中で感じる疑問から生まれることが多いです。例えば「教科書に書いてあるこの理論は本当に正しいのかな」、「一般的なトレーニング方法よりもっと効果的な方法を考えたので、データを採って比較してみたい」、「ケガを予防するために新しい方法を考えたので検証してみたい」などなど、解明してみたい謎が見つかるとワクワクします。次に、謎を解くための方法です。アイディアを証明するためのデータを収集するには、どの測定機器をどのように組み合わせたら良いか、データを分析するためにはどの統計手法を用いたら良いのか、などの研究全体のデザインを決めます。それが決まったら研究対象者と測定する日程を調整しながら、実際に実験していきます。実験によって採取された膨大なデータを整理して並べてデータベース化し、統計処理にかけます。統計処理はアイディアが本当に正しいかどうかを判定してくれるもので実験の"結果"になります。出てきた結果を元に自分なりの考えを考察していきます。ざっとこのような行程で一つの研究が完成します。また、研究によって発見した新しい知見は世の中に還元しなくてはいけない、というより、むしろ知ってもらいたいものです。そこで、本学の学生さんたちは、自分たちが行った研究を学会で発表することにしています。
私たち柔道整復師が所属する学会の一つに、社団法人日本柔道整復接骨医学会があります。この学会は、柔道整復師だけでなく、関連学問分野の研究者や医療関係者も含めて約5,300名の会員で構成されています。そして、毎年学術大会が開催され、一般発表やシンポジウム、講師を招いての講演、教育セミナー等が行われます。その中に学生発表枠が設けられているので、ここで発表することを目標にしています。
今年も、11月3日(金・祝)と 4日(土)の両日にかけて学会が開催され、学生さん、卒業生、教員がそれぞれ研究したことを発表してきました。
学会は毎年全国各地で開催されます。
ですから、打ち上げで各地の美味しいものを
食べるのも楽しみの一つです!
研究によって何かしらの結論を導き出したものを発表することはとても大変なことです。学校の勉強と違って答えを自分で見つけていかなければならないので、迷うことも多いです。しかし、その中でいろいろ考え、悩み、苦しんだ末に結論を出して、それを人前で発表できた後の達成感は、何物にも代えられない喜びとなって帰ってきます。研究に携わった学生さんたちの成長ぶりには目を見張るものがあり、学生さんたちが持っている可能性に驚かされています。そして、何事にもイヤイヤではなく主体的に取り組むことの大切さを教えてもらっています。常々"研究は教育でもある"と考えていますが、学生さんの主体的に取り組む姿勢をみるたびに、カリキュラムではなく自由に参加できる研究って面白いなと思います。