FACULTY
/GRADUATE SCHOOL
Blog 関西医療大学NOW!

皆さん、こんにちは。公衆衛生看護学領域の平尾です。今回は私が担当する『在宅看護学実習』について紹介したいと思います。
看護の実習と言えば、病院や高齢者施設、訪問看護ステーションなどでの実習がほとんどです。しかし、本学では在宅看護学実習の中で、作業所の実習をしています。作業所では、障がいをもつ方に対して「生活介護」や「就労支援」を行っています。簡単に説明すると「生活介護」は食事や排せつ、移動、レクリエーション活動など、利用者さんの日常生活を支援します。また、「就労支援」は障がいの程度により、空缶などの回収やクッキーづくり、お弁当づくり、清掃などの作業を行い、利用者さんが仕事をする能力を高めるための支援をします。
多くの学生さんは、知的障がいをもつ方と一緒に活動した経験がないため、「利用者さんとどのようにコミュニケーションをとればよいのだろう?」と不安をもちながら実習に入ります。そして、言語でのコミュニケーションが難しくても利用者さんの表情や視線、態度、行動などから「何を言おうとしているのか」、「何をしたいと思っているのか」、「自分だったら?」と利用者さんの立場に立ち、学生さん自身ができることを一生懸命考え、実施します。そうしていくうちに、最初は拒否的な態度を示していた利用者さんも徐々に学生さんに関心を寄せてくれるようになっていきます。そして、例え言葉が通じなくても学生さんの気持ちは利用者さんの心に届き、信頼関係が築けるようになっていきます。
利用者さんと共に過ごし活動することで、学生さんは障がいの有無にかかわらず、健康で仲間と一緒に楽しく過ごすこと、活動することの大切さや一人ひとりが尊重され、その人らしく生きることの重要性に気づきます。そして、障がいをもっていても利用者さん一人一人が力をもっており、その力をアセスメントし、ひき出せるよう健康管理をしながら支援することが看護師の役割であると学びます。決して利用者さんができないことをしてあげることが看護ではありません。
短期間の実習ですが、作業所で利用者さんと共に活動する経験は、学生さんの障がいをもつ方への理解を深め、看護とは何かということを見つめ直すきっかけになっているようです。病院で学ぶような疾患をもつ方への看護とは異なりますが、作業所では看護の基本を学べるように思います。