2023年02月10日
運動イメージの研究は、さらに広がっていきます (谷 万喜子)
みなさん、こんにちは。理学療法学ユニットの谷 万喜子です。理学療法学ユニットでは、「理学療法に運動イメージを応用する」ことを目的として多くの研究をおこなっています。
これまで、健康な20歳代の方に運動イメージを実施していただいて、運動イメージをした際に脊髄神経機能にどのような変化がみられるか、実際の運動能力の向上にはどのような条件で運動イメージを実施するのがよいか、などの様々なことが明らかになってきました。
以前の研究内容はこちらです。
さて、これからは実際に運動が困難となっていらっしゃる高齢の患者様のリハビリテーション・運動療法に運動イメージを応用したいと考えています。高齢の方々が、安全で安心に生活を続けられるためには、運動機能の維持・向上が欠かせません。しかし、高齢の方々は脳疾患や心臓疾患、呼吸器疾患などを抱えていらっしゃることが多く、運動機能向上を図ろうしても、一人では積極的な運動が難しい場合もあります。そのため実際の運動に代わる自主トレーニング法として、適切な運動イメージの方法を見つけて、提案していくことが重要となってきます。
新たな研究として、脳血管障害後遺症のため手指が麻痺して動かしにくい患者様の、指の動きを改善するための運動イメージ方法を検討します。まず、患者様の麻痺していない側の手指を動かしていただいた動画を撮影します。それを反転させたものを麻痺している側の手の上方で再生して見ていただき、あたかも自らの麻痺していた手指が動いているかのようなイメージをおこなっていただきます。運動イメージの前後には、脊髄神経機能の興奮性の指標であるF波を測定してその効果を検討するとともに、麻痺している手指の動きの変化を手指にセンサーを装着していただいて確認しようと考えています。
脳血管障害後遺症の患者様では手の機能の改善が難しいのですが、継続したリハビリテーション・運動療法が必要です。そのためには、病院に行ったときだけでなく自主トレーニングをおこなうことが大切です。運動イメージによるリハビリテーション・運動療法の効果的な方法を検討して、安全に自主トレーニングしていただけるように、さらにがんばっていきます!