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Blog 関西医療大学NOW!

鍼灸学ユニットの坂口です。前回(https://www.kansai.ac.jp/course/teacherblog/258)は、産後の入院中に通常ケア(骨盤ベルト)に鍼治療を加えると、通常ケアのみよりも腰痛が軽減することを報告しました。ただ研究デザインから、鍼治療の効果を強く発信することができませんでした。それで新たなデザインで第二弾の研究を開始し、昨年12月に研究課題を達成しました。また、その結果も次回報告できればと思います。
 さて、今回は、大学のフェムテック寄附研究部門で進めている研究の一端をご紹介しましょう。
鍼灸は、女性特有の健康問題、上記のような出産前後の周産期のトラブルや安全な分娩のために臨床で活用されています。その臨床成果を大学等の研究機関が臨床研究として分析し、その成果を学術雑誌などに発表しています。鍼やお灸をすることで、どのようなメカニズムで、痛みを軽減したり、血圧をコントロールしたり、自律神経機能を正常化したりするかを検討することは大事です。そのためには、動物実験による基礎研究、ヒトを対象にした臨床研究の成果の積み重ねが必須です。でもそのもととなるのは、開業して日々鍼灸臨床にあたっている鍼灸師の患者さんのリアルデータと言えます。
 一方で、鍼灸治療には、患者さんと共有する時間が長い、患者さんの身体に触れる、治療後に心地よいという感覚が生じるなどの特徴があります。症状の軽減には心地よさや空間、患者さんと治療者との関係などが複合的に作用していると考えています。そこで今回の研究では、AIを搭載したロボットに、鍼灸臨床で起こる効果の一面をアプリケーションとして加え、学習させることで、治療終了後の心地よさを表情や声のトーンなどの変化で捉えることができるのでないかと考えています。個別治療によるトータルの効果が判定できるのではないかと、今はワクワクしながら、ロボットの専門家、鍼灸治療院、他の鍼灸系大学の研究者などと一緒に取り組みをスタートさせています(全国の鍼灸治療院にロボットが設置され活用されることを夢見て)。もっと鍼灸が国民にとって身近なものとなるよう発信するツールにロボットを活用していきたいと考えています。