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Blog 関西医療大学NOW!

スポーツと理学療法における大学教育プログラム

■はじめに

 理学療法士は、痛みや張りなどの症状を訴える患者さまの動作を観察し、様々な症状につながっていると考えられる原因を考えます。
 そして、低下しているだろと想像した関節の可動範囲や筋力(こうれらを身体機能と言う)を測定し、様々な症状を生じさせている原因の身体機能低下を導き出します。
 日常で求められる動作のレベルは人それぞれ違います。お部屋の中を移動できれば良い方から力仕事をしなければならない方、スポーツ活動を実践できるだけでなく、よりレベルアップして競技復帰しなければならい方まで様々です。
 関西医療大学の理学療法学科では、どのような生活レベルの患者さまでも対応できる教育を実践していますが、今回はスポーツ選手が元の状態よりもレベルアップして競技復帰するための教育内容を説明致します。

   (大阪マラソン医事救護 トレーナー)

1.スポーツでのケガ

 スポーツの実践でケガをする多くの理由は、日常における様々な活動で生じた身体機能のバランスの崩れによって、体が既にストレスを受けているからです。従ってスポーツの実践時に帳尻を合わせようとしても、ケガは避けられません。日常で生じた体の機能低下は、日常において削除または軽減させておく事が必要であるので、「歩く(以下、歩行と言う)」動作をしっかり観察し、全身の身体機能をバランスよく活用した歩行にしておく必要があります。そうすれば、日常の歩行がスポーツ実践のためのトレーニングになり、スポーツ活動でのケガ予防やパフォーマンス向上につながる事になります。

   (雪上安全講習会 奥神鍋スキー場にて)

2.歩行観察から正しい歩行へ

 前方へ移動する手段として「歩行」や「走る(以下、走行と言う)」があります。歩行で既にバランスが崩れていると走行でのバランスも崩れる事になります。従って、必ず歩行を正しく行う事が必要となります。
 歩行では様々な関節が動くことで、効率よく移動する事ができます。正しい歩行ができれば、長時間の歩行でも疲れ難く、勝手に歩幅が大きくなり、歩行スピードも早くなります。
 歩行においては、腕や脚の動きばかりが目立ちますが、体幹の回旋や股関節の回旋が重要となります。また、歩行をスムーズに効率よく行える時には、重力や地面からの力で身体にある太いゴムバンドの様な腱と、それを支える筋肉の力を反射的に使用することができます。そのため、歩行時に努力して力を発揮する必要が無くなるわけですね。

3.様々なスポーツ動作

 スポーツの競技が違えば動作が違ってきます。しかし、間違ってはいけないのは、どのようなスポーツ動作であっても、動かしてはいけない関節の方向は同じであると言う事です。
 また、違うスポーツであれば動作も違うように思いがちですが、よく似ている動作もあります。例えばサッカーのボールを蹴る動作は、歩行動作と90%以上同じだと考えても良いでしょう。だから、正しく歩行ができていないと、サッカーでケガが生じます。水泳選手が肩を痛めたり、野球の投手が肩を痛めたりするメカニズムも同じなんですよ。

4.様々な動作の理解のための学修

 様々な動作を支える関節の運動は、筋肉や腱によって生み出されます。従って、動作を支える体の機能(以下、身体機能と言う)を理解するためには体の構造(解剖学)と、その構造の動きを生むための生理学を学ぶ必要があります。
 身体の構造や機能が理解できれば、超音波画像装置(以下、エコーと言う)を用いて身体の構造や動きを確認する事ができます。局所的にストレスを受ける事で炎症が起きていたり、腱など滑り運動が悪くなっていたりすれば、エコーを使えば確認する事ができます。
 そして、炎症が確認できた部位にはアイシングをしたり、腱の滑り運動が悪い場合には、周辺組織にマッサージをしたりします。

5.身体機能の向上

 関節が硬いと評価すれば関節をダイレクトに動かし、筋肉が硬いと評価すれば筋肉へのマッサージやストレッチを行います。正しい関節の動きを出せたならば、正しい運動を定着させたり、スピードアップのための筋力を上げたりするための様々なトレーニング方法を駆使して、競技復帰やパフォーマンス向上を目指します。

6.本学のスポーツ理学療法教育システム

 本学科には日本スポーツ協会公認のアスレティックトレーナーで理学療法士の教員が在籍しています。また、病院やクリニックでスポーツ理学療法を実践している教員もいます。
在校生においては、 1年生からスポーツ大会での選手サポート現場を見学したり、問題を抱えている選手の問診などをしたりできます。勿論、理学療法による選手の動作観察から検査測定、治療も学ぶ事ができます。
 学内ではスポーツ理学療法の講義もあります。スポーツ理学療法に関わるゼミやクラブに所属すればテーピングやマッサージ、トレーニング方法を学ぶこともできます。
 また、本学では大阪マラソンの救護所トレーナーとして教員と卒業生、在校生で参加しています。その際には、救急救命処置などの講習会も受講して頂きます。
 さらに、他学科のスポーツサポート活動にも参加する事ができます。サッカーやバレーボール、ノルディックウォークやタッチラグビー、アメリカンフットボールやスキーパトロールなどにも参加可能です。
  理学療法学科では、3年生や4年生になると、臨床実習として病院で約6週間学ぶ事になりますが、スポーツ理学療法実習ができる施設もあります。

7.まとめ

 本学には、スポーツに関わりたいと言う学生が沢山います。スポーツ現場で、多くの選手を相手にパフォーマンスを引き出すためのアプローチをするトレーナーを目指したい場合には、本学の「はり灸・スポーツトレーナー学科」で学ぶ事をお勧めいたします。
 様々なスポーツ現場でも怪我の予防や応急処置、治療に関わりたい場合には、本学の「ヘルスプロモーション整復学科」で学ぶ事をお勧めします。
 怪我や手術をした選手をいち早く、さらにレベルアップさせて競技復帰を目指す治療をしたり、痛みや張りを訴えている選手の問題点を探り出し解決したりする理学療法アプローチに関わりたい場合には、本学の「理学療法学科」で学ぶ事をお勧めします。
 「スポーツと治療」を共有できる方々は、是非本学で教員と共に頑張りましょう。

   (水上安全講習会 出雲市日御碕 おわし浜にて)