2025年03月14日
一緒に考えませんか、身近な健康課題への支援方法について(川村小千代)
地域老年看護学ユニットの川村小千代です。本学に着任し、1年を過ぎようとしております。着任前は、他県での職務経験があり、そのうちの1つに沖縄県での職務経験があります。
沖縄県は、気候や文化など、これまでとの環境とは異なり、多くの経験や学びがありました。また、仕事に従事するなかで、高齢者や高齢者の生活を支える他職種の方とともに多くの時間を過ごしました。
他職種の方とともに多くの時間を過ごすなかで、介護職者の方が職業性ストレスを抱えていることに気づきました。そこで、介護老人福祉施設に従事する介護職者に対する職業性ストレスの第一次予防法として、介護職者によるポジティブな出来事を筆記により表現する方法の有効性の検討を行い、その結果を今後の介護職者の健康支援に役立てることを目的とした研究を行いました。
研究方法は、参加承諾の得られたグループ又はユニットを2群に分け、一方をポジティブな出来事を筆記により表現をするA群、他方をB群とし、8週間の筆記期間中職場であったポジティブな出来事(幸福感、快感、満足感、充実感などを感じたこと、感謝したことや感謝されたことなど)を一冊のノートに書き留めてもらいました。さらに、朝礼の時間等を利用してノートに書き留められたポジティブな出来事を読み上げてもらいました。この方法をA群、B群で交互に実施し、調査期間中4回アンケート調査を行い、そのアンケート調査の分析を行いました。
結果は、筆記された語句の抽出をみると、「ありがとう」「嬉しい」「笑顔」の言葉が多かったです。職場グループでのポジティブな出来事の筆記と読み上げは、介護老人福祉施設の介護職者における没頭を高め、働きがいの向上を図る方策のひとつであることが示唆されました。小さな研究成果ですが、今後の介護職者の健康に貢献できればと思い、公表いたしました。
現在、多様な環境のなかで、社会情勢や生活文化を背景に健康に関わる課題は多様化しております。また、個々の人の意思や尊厳を擁護することが協調され、多様な価値観が生じており、健康に対する考え方も多様化しています。日々、職務に従事に努めていく中で多様な環境のなか、保健・医療・福祉に対するニーズに対応し、健康に関係する分野における健康づくりに寄与、人々の健康に貢献することも大切な職務の1つだと考えております。そのためには、エビデンスを多角的に分析し、実践的な知識や技術を用いた研究活動を行うことができるよう、日々、努力していきたいと考えております。