2017年03月17日
学科の選び方
はり灸・スポーツトレーナー学科 近藤哲哉
漠然と医療系を目指してオープンキャンパスに来てくれた高校生が「学科や職業の違いがよく分からず、どの学科を志望したらいいか分からない」と悩んでいるという話をよく聞きます。適性には大きく分けて、[1]何に興味があるか、[2]心理傾向、[3]能力の3つの観点があります。このうち[2]の中には、黙従反応や協調性などが含まれています。これらが高いかどうかを簡単に判断するテストもあるのですが、皆さんがしていた部活やバイトの内容でも知ることができます。
集団の和を乱さないように、決まったことを行う部活の典型として、グリーやブラスバンドがあります。スポーツでは、バレーボールやサッカーなどが集団スポーツであり、勝った喜びや負けた悔しさを皆と共有できる利点があります。一方、元女子プロテニス選手の沢松奈生子さんは、車椅子の世界大会で何度も優勝した上地結衣選手との対談の中で「集団スポーツは、自分がいくら努力しても仲間のせいで負けることがあるのが嫌なので、一人でプレーできるテニスを選んだ」と語っていて、上地選手と意気投合していました。これは自己責任ということでもあります。
医療系の職種の中でもっとも個人プレーの色彩が強いのははり師・きゅう師と柔道整復師だと思います。逆に看護師は複数の看護師が時間帯に応じて代わる代わる一人の患者に対応したり、医師、薬剤師、検査技師などあらゆる職種の人と打ち合わせをしたりするので、典型的なチーム医療の場で働くことになります。そのために、看護に苦労した患者が、自分が非番でいない時間帯に退院するかもしれません。理学療法士も医師と連携するチーム医療ですが、一人の患者をずっと同じ理学療法士が担当することが多いので、どちらの要素もあります。
他には、初対面の人間関係が得意な人と、初めは人見知りしても段々親しくなると調子が良くなってくる人に分かれます。前者は飲食店やコンビニでの接客のバイトが楽しかったはずです。そのような人は、次々に新しい患者に応対する臨床検査技師や看護師が向いています。ただし、検査技師の中には患者に接しない職場もあり、看護師でも慢性疾患の病棟勤務では後者になります。後者の人には、数年、数十年も同じ患者と付き合うことになるはり師・きゅう師、理学療法士が向いています。今まで、色々な人と付き合ってきたか、一人の人と長く付き合ってきたかといったことも判断材料になるかもしれません。
表1.心理傾向による学科の選び方