2018年09月19日
鍼(はり)を打つ
はり灸・スポーツトレーナー学科 山﨑寿也
早いもので、新入生が入学してから半年が経とうとしています。はり灸・スポーツトレーナー学科では、1年生の前期から鍼(はり)の実習が始まります(灸は後期からです)。
鍼を見たことも触ったこともなかった学生たちが、今では足に鍼を打てるようになりました。
さて、鍼は身体の表面(皮膚)から打つのですが、当然皮膚の下がどうなっているのかはわかりません。皮膚の下には、筋肉・骨・血管・神経・・・色々なものがあります。どの位置からどの方向にどのくらいの深さどの角度で打ったらいいのでしょうか?
私たちは、解剖学という身体の内部構造を勉強し、皮膚を触り、身体の内部を想像しながら実際の身体(学生同士)で鍼を打つ練習をします。
他の医療現場はどうなのでしょうか?手術の現場でも身体の内部を把握することは重要です。手術前に身体の内部がわかれば、練習やイメージトレーニング・シミレーションができます。
レントゲン・MRI・CT・内視鏡など様々な医療機器が開発されてきましたが、不十分なところも多くありました。ところが、最近になって実用化されてきたのが3DプリンターとVR(バーチャル・リアリティー)です。VRとは、コンピュータ・モデルとシミュレーション技術を用いて、コンピュータでつくられた三次元空間を、視覚その他の感覚を通じて疑似体験できるようにしたもの(仮想現実)です。これをHMD(いわゆるスキーのゴーグルのように顔面に装着するディスプレイ)を見ながら仮想体験を行うのです。
MRI・CTの画像データを利用し、3Dプリンターで臓器などの精巧な模型をつくり、どう処置をするか検討できますし、また、そのデータを立体画像にして空間に映し出すこともできます。当然、学生の学習にも利用できます。
「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット)という番組を見ている人いますか?2018年5月27日の放送は、「手術室に浮かび上がる3Dの臓器! VRを駆使した最先端医療に挑む外科医に密着」という内容でした。この中で、医療現場におけるVR技術を紹介していました(図)。
これらの技術が身近になり、近い将来鍼灸にも応用されれば、実習方法が劇的に変わるかもしれません。例えば、学生達が実技室でゴーグルを着け、仮想空間で鍼を打つ練習をしているかもしれません(笑)。
図 3D空間上CTデータ(臓器・骨等)を表示
「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット、2018年5月27日午後11時~11時半)より