2018年09月14日
認知症に対する臨床検査の専門家「認定認知症領域検査技師」について
楳田 高士
臨床検査技師は医療現場の幅広い職域で活躍し、超音波検査士・細胞検査士・認定血液検査技師・認定輸血検査技師・認定臨床微生物検査技師・遺伝子分析科学認定士など、数多くの専門性の高い認定資格が生まれていますが、今回、紹介するのは認知症の患者さんに対応する「認定認知症領域検査技師」についてです。
厚生労働省の発表によると日本は2025年には高齢者人口は3500万人に達し、試算によると約800万人の認知症患者、軽度認知症患者を含めると約1, 300万人( 国民の9人に1人) の認知症関連患者をかかえる認知症大国になると予想しています。
国は認知症を喫緊の課題として、新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)を策定して2025年に向かって様々な施策を行っているところですが、認知症の診断・治療に臨床検査技師が活躍する時が来たようです。
日本臨床衛生検査技師会(日臨技)は平成26年度に" 認定認知症領域検査技師制度" を創設しました。この創設目的は、「認知症の予防並びに認知症患者の治療の場において、病態を理解した臨床検査技師が対応することで、患者と家族の不安の軽減と正確な検査の実施が行えることから、臨床検査に関する専門性を生かして認知症の診断・治療を担当するチーム医療の一員として参加できる臨床検査技師を育成・確保することから」としています。
今後、認定認知症臨床検査技師の認知症疾患医療センターへの人員配置や各医療機関の認知症ケアサポートチームへの人員配置などが予想され、その動向が注目されています。
私は母が認知症(アルツハイマー型)の診断を受けてから、認知症に関心を持ち、臨床検査技師会の認知症対応力向上講習会(共催:日本認知症予防学会、後援:厚生労働省、日本病院会)を受講しましたが、診断を受けた神経心理学検査がよく理解でき、行動・言動にも冷静に対応できるようになりました。超高齢社会の今、認知症を知る・患者を理解することは医療の中で働く臨床検査技師にとって必須になってきていると考えます。
時代(時)の流れとともに臨床検査技師の業務も変化します。変化する時代に生きる諸君は、臨床検査技師の知識・技術を生かして様々な職域で、資格取得に挑戦してほしいと思います。